介護保険について

介護保険とは?


わが国は、2025年には、65歳以上のお年寄りの総人口に占める割合が14%以上となる高齢社会を迎えます。
介護保険制度は、高齢社会への対応として新しく生まれた社会保険制度で,平成12年(2000年)4月から施行されました。
介護保険は、40歳以上の人を対象とした強制保険です。
保険料を納め、介護が必要となったときに、保険給付を受けて介護サービスを購入する新しい社会保険制度です。      


 1:保険者(運営主体)は?
制度の運営主体は、市町村です。
保険者は、保険料の徴収等被保険者管理を行うとともに、保険料収入や国・都からの負担金等を財源に保険財政の適正な運営を図りながら、要介護(支援)状態になった場合に所要の保険給付を行います。


 2:被保険者(介護保険の対象者)は?
第1号被保険者(65歳以上の方)
寝たきりや認知症などで常に介護を必要とする状態(要介護状態)や、常時の介護までは必要ないが身支度など日常生活に支援が必要な状態(要支援状態)になった場合にサービスが受けられます。
第2号被保険者(40歳から64歳までの方
初老期の認知症、脳血管疾患など老化が原因とされる以下の病気特定疾病により要介護状態や要支援状態になった場合にサービスが受けられます。
 特定疾病とは
    筋萎縮性側索硬化症 後縦靱帯骨化症 骨折を伴う骨粗鬆症 多系統萎縮症  脊柱管狭窄症
    脊髄小脳変性症 初老期における認知症(アルツハイマー病、脳血管性認知症等) 
    早老症(ウエルナー症候群) 糖尿病性神経障害 糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症 脳血管疾患 
    パーキンソン病関連疾患 閉塞性動脈硬化症
    関節リウマチ慢性閉塞性肺疾患 両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症 末期がん


 3:保険給付(介護サービス)の種類
要支援と要介護とでは、メニューが同じでも内容が異なってきます。
要支援の方は、生活機能の低下を防ぐ観点から、残存した機能をできるだけ活用し、またリハビリテーションで機能改善を図る予防中心のサービスとなります。
要介護の方は、重度化を防止し、生活機能の改善を図りながら、ご本人が「自立」した生活を送れるための支援をするサービスを受けられます。
A:在宅に関する給付
 @訪問介護(ホームヘルプサービス)
    ホームヘルパーが家庭を訪問して介護や家事などの日常生活上での援助を行います。

 A訪問入浴
    浴槽を積んだ入浴車で家庭を訪問して、入浴の介護を行います。   

 B訪問看護
    看護師等が家庭を訪問して、医師の指示に基づいた療養上の世話や診療補助を行います。

 C訪問・通所によるリハビリテーション
    理学療法士や作業療法士等が、家庭を訪問したり、あるいは施設において、リハビリテーションを行います。

 Dかかりつけ医の医学的管理等
    医師、歯科医師、薬剤師等が家庭を訪問し、療養上の管理や指導を行います。

 E日帰り介護(デイサービス)
    デイサービスセンター等において、入浴、食事の提供、機能訓練等を行います。

 F短期入所サービス(ショートステイ)
    介護を必要とする方を介護施設に短期間お預かりします。

 G認知症の要介護者のためのグループホームにおける介護
    認知症のため介護を必要とする方々が10人前後で共同生活を営むグループホームにおいて介護を行います。

 H有料老人ホーム等における介護
    有料老人ホーム等において提供されている介護なども、介護保険の対象とします。

 I福祉用具の貸与及びその購入費の支給
    車椅子やベッドなどの福祉用具について貸与を行うほか、特殊尿器などについて購入費の支給を行います。

 J住宅改修費の支給
    手すりの取付や段差解消などの小規模な住宅改修について、その費用を支給します。

 K居宅介護支援(ケアマネジメントサービス)
    介護を必要とする方の上記の福祉サービス、医療サービスの利用等に関し、居宅ケアプランを作成。
    そして、これらが確実に提供されるよう介護サービス提供機関等との連絡調整などを行います。
B:施設に関する給付
 @特別養護老人ホームへの入所
 A老人保健施設への入所
 B療養型病床群、老人性痴呆疾患療養病棟その他の介護体制が整った施設への入院

C:市町村の独自給付
以上の給付のほか、市町村は、地域の独自のニーズに応じ、65歳以上の方(第1号被保険者)の保険料を財源として、以下のような給付を行うことができます。
 @介護を必要とする方等に対する寝具洗濯・乾燥サービスなどの給付。
 A介護研修、介護をしている家族のリフレッシュを目的とする交流会、一人暮らしの被保険者のための配食サービスなど。


 4:介護保険の保険料
市区町村全体でどの程度サービスが必要かによって、基準額が決まります。
そのうえで、所得段階別に個々人の保険料額が決まります。
A:第1号被保険者の保険料(65歳以上の方)
保険料は国が定めるガイドラインに基づき、市町村が条例で設定され、所得段階に応じた定額保険料となっています。
その徴収は、老齢・退職年金から特別徴収(いわゆる天引き)が原則です。
特別徴収が困難な者については市町村が個別に国民健康保険料と併せて徴収を行います。
これを普通徴収といい、無年金者、低年金者(年額18万円未満)、障害年金受給者の方が対象となります。
        65歳以上の保険料 = 市区町村ごとに定められる基準額 × 所得段階ごとの「率」
        例:鳥取県米子市の場合
B:第2号被保険者の保険料(40歳から64歳までの方)
それぞれ加入する医療保険(社保、国保)のルールに基づいて、設定します。
この介護保険料は、医療保険者が一般の医療保険料と一括して徴収を行います。


 5:介護保険の利用料
介護保険からサービスを受けたときは、原則としてかかった費用の1割を負担します。
費用は、サービスごとに公定価格が定められています。
施設に入った場合は「食費」と「居住費」という負担が別途必要です。
日帰りで通うサービスの場合には「食費」が別途必要です。

居宅サービス費 住宅 用具
要支援 1 4,9700円

20




10


予防給付
要支援 2 10,4000円
要介護 1 16,5800円 介護給付
要介護 2 19,4800円
要介護 3 26,7500円
要介護 4 30,6000円
要介護 5 35,8300円
   要支援1や要支援2に該当した方には「予防中心のサービス」が提供されます。
   手続きの流れや利用できるサービスの種類がが、要介護1〜5とは異なりますので、注意が必要です。


 6:介護サービスの利用方法
@申請
介護や支援が必要になったら、本人(または家族等)が、申請書に必要事項(被保険者氏名、生年月日、性別、住所、主治医がいる場合はその氏名、等)を記載し、被保険者証を添えて市町村の窓口へ申請します。
居宅介護支援事業者や介護保険施設による代行もできます。
A訪問調査
申請がなされると、「訪問調査員」が、日常生活や心身の状況などを調査するために、ご本人の居所へ赴き訪問調査をします。
    1)概況調査
         調査対象者の主訴、現在受けているサービスの状況、置かれている住居環境、家族環境、等。
    2)基本調査
         心身の状況を把握するための項目、特別な医療に関する項目、廃用の程度に関する項目。
    3)その他特記事項
         基本調査だけでは分かりにくい、被保険者の状況や問題となる事項。
B主治医意見書

C一次判定
    コンピュータによる一次判定
D介護認定審査会 
A、B、Cの「訪問調査に基づくコンピュータによる一次判定」、「特記事項」、「かかりつけ医(主治医)の意見書」をもとに、介護認定審査会において、申請者の介護の必要性や、どの程度の介護が必要かを審査・判定します。
「介護認定審査会」は保健・医療・福祉などの専門家で構成されます。
判定は、介護の必要度合いに応じて、下の表要介護度」のように分類されます。
要介護度 状  態
非該当
(自立)
自立 歩行や起き上がりなどの日常生活上の基本的動作を自分で行なうことが可能であり、かつ、薬の内服、電話の利用などの手段的日常生活動作を行なう能力もある状態。
要支援 1 これまでの要支援状態像の方 日常生活上の基本動作については、ほぼ自分で行なうことが可能であるが、日常生活動作の介助や現在の状態の防止により要介護状態となることの予防に資するよう手段的日常生活動作について何らかの支援を要する状態。
要支援 2 これまでの要介護1状態像の方で、状態の維持・改善可能性の高い方 要支援の状態から、手段的日常生活動作を行う能力がわずかに低下し、何らかの支援が必要な状態
要介護 1 部分的な介護が必要 要支援の状態から、手段的日常生活動作を行なう能力が一部低下し、部分的な介護が必要となる状態。
  身の回りの世話に見守りや手助けが必要
  立ち上がり・歩行等で支えが必要
要介護 2 軽度の介護が必要 要介護1の状態に加え、日常生活動作についても部分的な介護が必要となる状態。
  身の回りの世話全般に見守りや手助けが必要。
  立ち上がり・歩行等で支えが必要。
  排泄や食事で見守りや手助けが必要。
要介護 3 中程度の介護が必要 要介護2の状態と比較して、日常生活動作及び手段的日常生活動作の両方の観点からも著しく低下し、ほぼ全面的な介護が必要となる状態。
  身の回りの世話や、立ち上がりが一人ではできない
  
排泄等で全般的な介助が必要。
要介護 4 重度の介護が必要 要介護3の状態に加え、さらに動作能力が低下し、介護なしには日常生活を営むことが困難となる状態
  排泄や入浴などの動作がほとんど1人でできず、介助が必要。
  立ち上がりや歩行が自分1人ではできない。
  掃除などの身の回りの動作が1人でできず、介助が必要。
  多くの問題行動や全般的な理解の低下がみられることがある。
要介護 5 最重度の介護が必要 要介護4の状態よりさらに動作能力が低下しており、介護なしには日常生活を営むことがほぼ不可能な状態
  意思の伝達が困難。
  生活の全般について全面的介助が必要。
  多くの問題行動や全般的な理解の低下がみられることがある。
E介護サービス計画(ケアプラン)の作製
1:要支援と認定された方は介護予防サービスを要介護と認定された方は、介護サービスを受けることができます。
   介護予防サービスを受けるためには?
      管轄の地域包括支援センターに介護予防プランの作成を依頼します。
   介護サービスを受けるためには?
      居宅介護支援事業者等に所属するケアマネジャーにケアプランの作成を依頼します。
   介護保険施設入所者は?
      その施設の介護支援専門員が施設サービス計画を作成します。 

2:作成を依頼した地域包括支援センター又は、居宅介護支援事業者について、市町村に届け出をします。
   
  補足:
  介護サービス計画(ケアプラン)を自分で作成することもできます(市町村へ届け出必要)。
  介護サービス計画(ケアプラン)作成の費用は、全額が保険給付となるため、利用者の自己負担はありません。
F事業者との契約
1:契約
ケアプランを作成したら、個々のサービス事業者との契約を経て、サービスが始まります。
契約に際しては、記載内容をよく確認しておきましょう。
また、利用開始後の疑問や不明な点があれば早めに事業者に説明を求めるようにして下さい。
困ったことや、苦情については相談窓口に相談するようにしましょう。
2:契約前の注意点
(1)指定事業者であるかどうか
介護保険のサービス給付は、都道府県や市区町村から指定を受けている事業者が対象となります。
それ以外の事業者のサービスは全額自己負担となります。

(2)サービスの内容
家族の付き添いが必要かどうか、訪問サービスでは交通手段は車かどうか、利用者側で用意すべきものはあるかなど。

(3)サービスの利用料
1割負担のほかに交通費実費やサービスに使う物品費等の支払いはあるか。
支払方法はどうなっているかなど。

(4)サービスの変更・解約
予定されていたサービスの変更が容易にできるか。
その手続きやキャンセル料はどうなっているか。
利用者からの解約が保証されているかなど。

(5)事故・トラブル発生時の対応
万が一、事故やトラブルが発生した場合の対処方法や損害賠償はどうなっているか?
Gサービスの利用
Eで作成した介護サービス計画(ケアプラン)に沿って、介護サービスを受けることとなります。
   「要支援」の場合:介護予防サービスのみ受けることができます。
   
「要介護」の場合:在宅介護サービス、施設介護サービスのいずれも受けることができます。



 7:補足