1:妊娠中の体の変化
(1) 妊娠1ヶ月(0−3週)
妊娠の始まりは
「受精」です。
受精とは精子が卵子の中に入り込むことで、これが受精卵です。
月経周期が平均的な28日周期の場合、卵巣から卵子が排卵するのは、月経開始日から約2週間後。
卵子の寿命は排卵から約8〜10時間しかないので、この間に卵管でタイミングよく精子が卵子に出会い、受精すると
「受精卵」になります。
受精卵は細胞分裂を繰り返しながら、子宮へと運ばれ、受精から約7日目ぐらいに子宮内膜へともぐりこみます。
受精卵が子宮内膜にもぐりこんで根を生やすことを
「着床」といい、これで妊娠が成立します。
妊娠すると月経が止まります。
月経周期が規則的な人は、予定月経が1週間以上遅れたら、妊娠と思っていいでしょう。
ただし、女性の体は精神的なストレスや環境の変化の影響を受けやすいので、妊娠以外にも月経が遅れることはよくあります。
{赤ちゃんのようす}」
受精卵は細胞分裂を活発に繰り返し、妊娠8週めまでは
「胎芽」と呼ばれます。
(2) 妊娠2ヶ月(4−7週)
@基礎体温は高温相が続きます。
基礎体温が低温から高温に移行して、高温が3日以上続くと排卵があったとわかります。
そのまま高温が14日以上続いた時は、妊娠と思っていいでしょう。
A便秘と眠気が強くなります。
妊娠後はホルモンの影響で、便秘になったり眠くなったりします。
体が熱っぽくだるくなったり、乳首の色が濃くなって敏感になったりするのもホルモンの影響です。
Bつわりが始まる人もいます。
C妊娠判定
月経周期が28日と規則的な人の場合には、最終月経が始まった日から数えて4週間目(受精から2週間目)以後、つまり、月経が4〜5日とか1週間遅れたころに、
妊娠判定薬を使うと、妊娠かどうかがわかります。
妊娠すると、hCG(
ヒト絨毛性ゴナドトロピン)というホルモンがつくられ始めます。
このホルモンは、妊娠した瞬間から大量に分泌されるわけではなく、時間がたつにしたがって徐々に増えていき、尿の中にたくさん排出されてきます。
また、超音波検査では、妊娠4〜5週(月経が1〜2週間遅れた段階)で、妊娠の確定診断ができます。
{赤ちゃんのようす}
身長は2cmくらいになり、心臓の形ができて、心拍音が確認できるようになります。
(3) 妊娠3ヶ月(8−11週)
@早い人では妊娠4週ごろ、普通は妊娠5〜6週ごろからつわりが始まります。
おなかがすくと吐き気を感じたり、吐いたりします。
つわりの原因ははっきりとはわかっていませ。
しかし、妊娠後に大量に分泌されるhCGというホルモンによるとする説や、母体が胎児を異物と感じるアレルギー反応が原因という説があります。
また、精神的なストレスが自律神経のバランスを乱すことも影響しているといわれています。
つわりの症状や程度には個人差があり、気にならないほど軽い人もいる一方で、かなり重い人もいます。
つわりは妊娠7〜9週ごろがピークですが、11〜12週ごろには治まることが多いので、上手な食べ方で乗り切りましょう。
{赤ちゃんのようす}
身長は約8cm、体重は約20gになり、頭や胴、手足ができてくる時期です。
8週すぎには動き始め、11週ごろには心拍音が聞こえるようになります。
(4) 妊娠4ヶ月(12−15週)
@胎盤の完成
妊娠12週ごろには、胎盤(たいばん)が完成します。
これで流産の心配はかなり少なくなります。
妊娠直後から、胎芽(たいが)を取り巻く絨毛(じゅうもう)という細かい根のような組織が、子宮内膜に少しずつ根を張りはじめます。
この絨毛組織がさらに増殖して、ひとつの器官になったのが「胎盤」です。
胎盤には、胎児につながる臍帯(さいたい/へその緒)がついていて、母体と胎児をつなぐ連絡通路の役割を果たします。母体のほうから2本の血管(子宮静脈・動脈)が胎盤に届き、胎児からは臍帯の中を通る3本の血管(臍動脈2本・臍静脈1本)によって、胎盤につながっています。
胎盤が完成すると、臍静脈を通してママから赤ちゃんへ酸素や栄養が運ばれます。
赤ちゃんからは臍動脈を通して、二酸化炭素や不要な老廃物などがママに送り返されます。
また、胎盤は、赤ちゃんにとって有害な物質が入らないように防ぐフィルターの働きもしています。
さらに、胎盤からはいろいろなホルモンが分泌され、妊娠を維持し、胎児の成長を促し、出産や産後の授乳の準備を整えるなど、重要な働きをします。
Aつわりが終わる
つわりが終わり食欲が出ますつわりで食べられなかった人も食欲が出てきますが、妊娠中の太りすぎはいろいろなトラブルの元になります。
妊娠中の食生活をきちんとすると、母体の健康はもちろん、おなかの赤ちゃんの「胎内肥満」を防ぎます。
{赤ちゃんのようす}
体重は約100g、身長は約15cmになります。
内臓や手足の形ができ、骨や筋肉も発達して羊水の中で自由に動き回ります。
脳が急成長し、大脳や小脳ができてくる時期です。
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(5) 妊娠5ヶ月(16−19週)
@胎動を感じるようになります。
おなかの赤ちゃんの動きを、ママ自身が自覚することを「胎動(たいどう)」といいます。赤ちゃんはもっと前から動いていたのですが、妊娠5カ月に入ると、「アッ、赤ちゃんが動いた」とママが感じるぐらいに、力強く足で蹴ったり、手を伸ばしたりするのです。
胎動を初めて感じた時のことを、「腸がグルグル動くような感じ」とか、「おなかの中でガスがモゴモゴと動いた感じ」とか、「何かがピクピクッと動いた」とか表現するママが多いようです。
経産婦のほうが初産婦より2〜3週間ぐらい早く、妊娠17週ごろに胎動を感じます。
初産婦は妊娠19〜20週ごろからでしょう。
Aおなかが目立ちはじめます
子宮は、大人の頭ぐらいまで大きくなります。
外見からもかなり、おなかのふくらみが目立つようになります。
大きくなった子宮は、おなかごしに触診できるようになります。
妊婦健診では、子宮底長(ていちょう)といって、恥骨(ちこつ)の中央から子宮の上の端までの長さを測れるようになります。健診時の基本的な検査では、体重や血圧、むくみ、尿などの他に、子宮底長や腹囲(おなかの大きさ)を測るようになります。
しかし、子宮や臍帯(さいたい)、胎盤(たいばん)、そして赤ちゃんの発育などは、超音波検査からの情報のほうがより正確です。
子宮底長やおなかの大きさには個人差もありますから、特別な注意を受けない限り、外見のおなかが小さい、大きいと心配する必要はありません。
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{帯祝い}
多産でお産の軽い犬にあやかった儀式です。
妊娠5ヶ月にはいった戌の日に、妊婦が腹帯(岩田帯)を巻いて安産を祈り、双方の両親などと祝いの膳を囲みます。
最近ではあらたまった儀式をせずに、産院で腹帯の巻き方を指導してもらったり、夫婦で神社に安産祈願のお参りをするというスタイルも増えているようです。
{赤ちゃんのようす}
身長は約25cmに成
長。
心臓や肺の働きも強くなって、聴診器で心音が聞き取れるようになります。
耳、鼻、口の形が完成し、つめや髪の 毛が生え始めます。
(6) 妊娠6ヶ月(20−23週)
@乳腺が発達して乳汁が出てくることも
外見だけでなく、ママの体の中では出産や産後の育児に向けて、ホルモンが活発に活動を開始しています。
おっぱいは乳房の乳腺組織で作られます。
妊娠6カ月ごろには乳腺はかなり発達して、乳首を押すと薄い黄色みを帯びた乳汁が出ることがあります。
ママの乳房の大きさには個人差があり、乳首の形もいろいろです。
乳房が小さいとおっぱいが出にくくないかとか、乳首が偏平だったり、陥没していると赤ちゃんがおっぱいを飲みにくいのではないかなど、不安になるママもいるでしょう。
でも、今から産後のことをあまり心配しすぎないように。
赤ちゃんの誕生直後から頻繁におっぱいを飲ませると、赤ちゃん自身が乳首の形を直してくれるからです。
妊娠中は、おっぱい哺育(母乳育児)が赤ちゃんにとってどんなに大事かを勉強しながら、赤ちゃんへの愛情を育む時期です。
{赤ちゃんのようす}
身長は約30cm、体重は500g程度になります。
眉毛やまつ毛が生え、まぶたも開くようになります。
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(7) 妊娠7ヶ月(24−27週)
@大きくなった子宮が胃を圧迫しはじめます
妊娠した子宮の一番上の部分が子宮底です。妊娠7カ月になると、子宮底はおへその上まで届いて、おなか全体がかなり大きくなります。
大きくなった子宮は、内臓を圧迫しはじめます。子宮が胃を圧迫すると胸がつかえたような感じになって、1回に食べられる量が減るママもいます。
でも、これはとても理にかなったことなので心配しないで!
妊娠7カ月の終わりごろから急に食欲が出てくるママも多いのですが、食欲のある割には胃がつかえて1回に食べられる量が減るおかげで、食べすぎを防ぐことができるわけです。
「1回にたくさんは食べられない」という胃からのサインに素直に従うことが、太りすぎの予防につながるといえるでしょう。
A仰向けに寝ると苦しいことも
おなかが大きくなると、妊娠前と同じ姿勢で眠ると、息苦しくなったり、眠りが浅くなることがあります。
妊娠7〜8カ月ごろには、心拍数がピークになるので、動悸がして熟睡しにくいというママも出てきます。
仰向けに寝ると、低血圧になることもあります。これは仰臥位(ぎょうがい)低血圧症候群といって、大きくなった子宮が下大静脈を圧迫して、心臓に戻る血液の流れが滞るためです。
仰向け寝が苦しいと感じたら、姿勢を変えてみて。体の左側を下にして横向きに寝る「シムスの体位」が楽ですし、おなかやひざの下にクッションを当てると寝やすくなります。
自分なりに一番眠りやすく楽な姿勢を工夫しましょう。
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{赤ちゃんのようす}
26週には、身長は約35cm、体重は約800gに。
目や耳の機能が発達し、光と音を感じ始めます。
自分で向きをかえたり、手を開いたり握ったりするような細かい動きもできるようになります。
(8) 妊娠8ヶ月(28−31週)
@母体のエネルギー配分が変わります
妊娠28週になると、母体の脂肪からつくられるブドウ糖が、赤ちゃんへ優先的に送られるようになります。
これが母体のエネルギー配分が変わるということ。突然ケーキやチョコレート、アイスクリームなどが食べたくなるのも、おなかの赤ちゃんがブドウ糖を欲しがっているから。今までケーキは嫌いだったというママでも、妊娠28週を境に食べたくなるというケースも目立ちます。
妊娠28週から31週ごろの3〜4週間は、とくに上手に食欲をセーブすることが重要です。
Aむくみやすくなります
足のすねの部分を指で押してから放すと、すぐに戻らずにくぼみがつくことがあります。これが「むくみ」で医学用語では「浮腫(ふしゅ)」といいます。むくみは、血液中の水分が血管の壁から染み出てきて、皮膚の下にたまった状態です。
妊娠後期には母体の血液の水分量が多くなります。体を循環する血液がますますたくさん必要になるため、水分を多くすることで血液量を増やすからです。生理的な水血症といい、ネットリしがちな血液をサラサラにして血管の中を通りやすくしたり、血圧を上げないようにするための、大事な体のしくみです。
水っぽい血液からは水分も染み出しやすいので、妊娠28週以後は、むくみやすくなるのです。むくみ対策には、足の下にクッションを置いて足を高くした姿勢で寝ます。また、体の左側を下にして横向きに寝ると、子宮が下大静脈を圧迫するのを防いで、下半身から心臓へ戻る血液の流れがよくなり、むくみがとれやすくなります。
B時々おなかが張るようになります
おなかが張るというのは、痛みがなくて少しおなかが固くなることをいいます。
妊娠後期では1日に何度か、とくに夕方になるとおなかが張ることがよくあります。
働いている人や立ち仕事の多い人、上の子の世話がある人はおなかが張りやすいものです。
横になって安静にすれば、ほとんどの場合はじきに張りがとれます。
{赤ちゃんのようす}
30週の身長は約40cm、体重は約1500gと大きくなり、だんだん位置や姿勢が定まってきます。
体には皮下脂肪がつき始めます。超音波で男女の性別が推定できるようになるのもこのころです。
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(9) 妊娠9ヶ月(32−35週)
@胃のもたれ、動悸、息切れなどが出てきます
子宮がみぞおちのあたりまで届いてきますから、胃や肺を上にもちあげ、心臓を圧迫するようになります。このため、胃がもたれたり、動悸や息切れなどの症状が強くなります。
胃が子宮に押されると1回に食べられる量が減ります。過食をしないように、1回の食事量を抑えてくれる胃からのサインと受け止めましょう。食事量が減った分、すぐにおなかがすきます。お菓子などの間食が欲しくなりますが、これはガマン。1日の食事量を6回ぐらいに分けて食べる「小分け食い」にするのがコツです。
A腰が痛くなったり足がつることも
大きくなった子宮を支えるために、腰に負担がかかり、腰痛症状が強くなるママが多くなります。足のつけ根にも負担がかかり、股のあたりがつれたり、足がつったりすることがあります。
おなかが大きくなると、体を動かすのがおっくうになりますが、適度な運動は、血行をよくして腰痛解消にも役立ちますし、太りすぎや妊娠中毒症の予防にもつながります。積極的に体を動かすようにしましょう。
B尿が近くなったり、尿がもれたりします
子宮が膀胱(ぼうこう)を圧迫して容量が少なくなり、尿が近くなります。
残尿感といって、排尿後に尿が残っているような感じも出てきます。
尿意を我慢すると膀胱炎などの原因になりますから、トイレは我慢しないようにしましょう。
妊娠後期の軽い尿もれには専用のライナー、尿とりパッドを使うようにしましょう。
くしゃみや咳をして下腹部に力が入ると、尿が少しもれることがあります。
腹圧性尿失禁といって、お産が近くなったママにはよく見られるトラブルです。
ホルモンや大きくなった子宮の影響で、内臓を支えている骨盤の底にある筋肉(骨盤底筋群)がゆるんだり、疲労します。
もともと尿道が短い女性では、骨盤底筋のゆるみに伴い、尿もれが起こりやすくなるのです。
尿失禁用のパットを使ったり、下着をまめに替えるなどの対策を。
ただし、ときには破水(はすい)のことがあります。
破水は赤ちゃんを包む卵膜が破れて中の羊水が流れ出るもの。尿と違って羊水は臭いがなく無色ですが、自分では区別がつかないこともあります。破水かも知れないと思ったら、早めに診察を受けましょう。
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{赤ちゃんのようす}
34週の身長は約45cm、体重は約2200gに。
羊水を飲み、おしっことして出すこともできるようになります。
また外からの刺激に気持ちいいとかイヤだという反応を示す様子もみられます。
(10) 妊娠10ヶ月(36−39週)
@胃のつかえがとれて食欲が増します
妊娠36週になると胃のあたりのつかえがとれてスッキリする分、食欲が出て1回に食べられる量が増えます。でもここでママがせっせと食べると、困ったことになります。このころ、赤ちゃんの膵臓(すいぞう)が完成して、自力でインシュリンを分泌しはじめます。つまり、妊娠36週以後にママがたくさん食べると、赤ちゃん自身の力で血糖値をあげ、おなかの中で一気に大きくなる可能性があります。
今までのトータル体重増加はどのくらいでしょう。多くても10kgが限度! それ以上増えると、赤ちゃんが大きくなりすぎて難産になる心配もあります。食事を抜いたりの無理なダイエットはいけませんが、1日の食事量を6回程度に小分け食いすることで、食欲を上手にコントロールしましょう。
A精神的な不安がつのるママも出てきます
そろそろ、大きなおなかを抱えた暮らしとサヨナラできて身軽になる期待感がふくらみます。
その一方で、なんとなく精神的な不安感がつのるママも……。
安産できるだろうか、赤ちゃんは元気に生まれるだろうか、育児をきちんとできるだろうかなど、この時期、いろいろに不安を感じる人もいるでしょう。
こんな気持ちは、哺乳動物の「メス」としての原初的不安といわれます
好きな音楽、ショッピング、後期母親教室への参加など、自分なりに気持ちが安らぐことを見つけてください。
Bお産準備の兆候が現れます
体の中でお産への準備が始まります。赤ちゃんが下に下がるため、足の付け根が押されるような感じが強くなります。尿が近くなって、夜中に何度かトイレに起きるようになったり、1日に何度か、おなかが張るようになります。とくに夕方になると強く張ることでしょう。
超音波検査や内診で、お産の準備状態を観察することができます。子宮の下の部分(子宮頸管)が上に引き伸ばされて短くなったり、子宮口が柔らかくなり少し開いてきます。初産婦は、ビショップスコアという点数で分娩準備状態を採点することができます。
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{赤ちゃんのようす}
39週には体重が3000g前後、身長は50cm前後になります。
口の周囲の筋肉も発達しておっぱいが吸えるようになっています。
もう、いつ生まれてもだいじょうぶ。
2:妊娠中の性生活
@初期(0−15周)は△ |
細心の注意が必要です
受精卵が着床したばかりの不安定な時期は、流産の可能性もあります。この時期はなるべく膣を刺激しないことが大切。おなかを圧迫してもまだ影響はありませんが、膣の奥まで深く挿入するような激しい動きは避けてください。
この時期は、つわりがひどくて体調がよくないプレママも多いでしょう。夫とよく話し合い、いたわりあえる関係を築いて。触れ合うだけで満たされるような方法を、互いに思いやりながらさがしましょう。
おなかの痛みや張り、不正出血などがある場合、もちろんSEXは厳禁です。 |
A中期(16−30周)は○ |
おなかを圧迫しないように
つわりがおさまり、安定期に入る頃は、SEXも比較的だいじょうぶな時期といえます。
ただし、この頃には子宮が大きくなり始めているので、プレママのおなかを圧迫するような体勢を避けるくふうをしてください。
妊娠したことで膣の中は敏感になっています。
激しく突き動かすと、傷をつけたり子宮を収縮させたりするおそれがありますので、あくまでもソフトにゆっくり楽しむことを心がけて。
プレママの体調がよくない日は避けて、またお医者さまから安静を言い渡されている人は、指示にしたがいましょう。 |
B後期(31−40周)はそろそろ× |
早産予防が第一です。
妊娠後期に入ると、子宮はそろそろお産の準備を始めます。
乳首のお手入れをしていても子宮が収縮して、おなかの張りを感じることがあるものです。
また膣内もますます敏感になり、ちょっとした刺激で出血しやすくなります。
からだのトラブルを抱えていてつらい、というプレママもいるはずです。
抱き合ったり愛撫したりする方法で心の満足を優先させて。
また途中でおなかの張りを強く感じたら、無理をせず静かに横になることがたいせつです。
臨月に入ると、破水や早産につながるおそれがあるので、SEXは産後までおあずけ。
ちょっとツラいというプレパパ、赤ちゃんが無事に生まれることを何よりも優先して、しばらくガマンです。 |
C産後はいつから? |
1ヵ月検診終了が目安
通常、産後1ヵ月で悪露はほぼおさまり、子宮や膣が回復します。
1ヵ月検診で特に問題がなく、お医者さまからOKが出ればSEXを再開してもだいじょうぶです。
ただし最初は精神的にも肉体的にも、不安があるかもしれません。
出産時に会陰切開をした場合は、傷口が傷まないかどうかの心配もあり、実際にしばらく痛みが続くという人もいます。
パパとママになってからのSEXは、最初がたいせつ。ママの心と体は、不慣れな育児にも疲れを覚えています。無理をせず、まだしばらくはソフトでやさしい関係を続けてください。
また月経が始まらないからといって、避妊を怠るのは×。母乳を与えている人は比較的月経の開始が遅れる傾向にありますが、最初の月経がくる前の排卵で妊娠する可能性もあることを忘れないようにしてください。産後すぐに次の子を妊娠してしまうのは、ママにとって肉体的にも心理的にも負担が大きくなります。母体の回復には1年かける心づもりで。
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3:妊娠中の薬の影響変化
はじめに
おなかの赤ちゃんに悪い作用をしては困りますね。妊娠中の薬については、たいへん心配なことと思います。でも、実際のところはどうなのでしょうか・・。結論から申しますと、ほとんどの薬には心配するような危険性はありません。
妊娠中に薬を飲んでいなくても、ちょっとした先天異常(奇形)は100人に2人くらいの割合でみられます。これは確率的な問題でもあり、どの人もリスクは同じです。大部分の薬は、そのような奇形の自然発生率を高めることはないのです。いいかえれば、奇形の発生率を2倍にも3倍にも高めるような危険な薬は、ごく一部の特殊な薬だけということです。そのような薬は、使用前に妊娠テストをしたり、あらかじめ使用期間中に妊娠しないように申し付けられるものです。
おなかの赤ちゃんに奇形を作る作用のことを「催奇性」とか「催奇形性」といいます。また、赤ちゃんの発育や機能に悪い影響をすることを「胎児毒性」といいます。これらについては、薬が発売される前に動物実験で厳重なチェックがおこなわれます。抗がん剤など一部の薬を除き、催奇性が強い危険な薬が発売されることもありません。誰でも買える市販薬についてはなおさらです。
ただし、人での安全性を厳密に確かめることはなかなかできません。また、より万全をきすという意味でも、不必要な薬は飲まないに越したことはありません。無用な心配もしなくてすみます。妊娠中やその可能性のあるときは、市販薬も含め、必ず医師や薬剤師の指導のもとで使用してください。妊娠を早くキャッチするという意味で、日頃から基礎体温をつけることも大切なことだと思います。
はじめにも述べたように、先天異常は妊婦さんの2%くらいに生じます。一部の特殊な薬は、その危険性を少し高めるかもしれません。もちろん五体満足のほうがいいに決まってます。けれど、奇形や障害があったとしても、そのことだけが人の幸福を左右するものではありません。体に障害があっても、普通の人以上に幸せにされている方はたくさんいらっしゃいます。妊娠に気づかないで薬を飲んでいたとしても、多くの場合、心配するほどのことではありません。あまり悩まないで、念のため主治医か産婦人科医に相談されてください。日常的な病気、たとえばカゼ、頭痛、腹痛などの薬を通常の範囲で使用されていたのでしたら、まず問題ないことでしょう。市販薬にも危険性の高い薬はありません。
病院の薬には妊娠中に禁止されている薬(妊婦禁忌)がたくさんあります。ただ、危険度のレベルは、薬によりまちまちです。本当に危険度の高い薬は、これらのなかでも一部です。また、服用量、服用時期によっても危険度が違ってきます。たまたま妊娠中に禁止される薬を飲んでしまったからといって、必ずしも危険性が高いわけではないのです。早まって妊娠中絶などと考えてはいけません。北大病院産婦人科の調査によると、妊婦939人中、15人(1.6%)が妊娠初期に催奇性が考えられる薬を飲んでいましたが、15人とも障害のない健康な赤ちゃんを出産されたそうです。
もちろん、危険な薬はごく一部といっても、不必要な薬は飲まないに越したことはありません。妊娠の可能性のある女性で、とくに生理が遅れているときなど、薬の安易な使用は慎むべきです。妊娠をはやく知るには、やはり基礎体温をつける習慣が大切です。また、妊娠中に新たに病院にかかるときは、妊娠していることを必ず医師に伝えておいてください。
